刊行物
PUBLICATIONS
執筆者 | 田村 一軌 |
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所 属 | アジア成長研究所 |
発行年月 | 2025年3月 |
No. | 2024-15 |
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都市における「移動」は、通勤や通学、通院や買物など、我々の都市生活の根幹を支える活動である。都市内における移動の円滑さや効率性は、都市の持続可能性や経済発展、市民のQOLの向上などに直接的に影響を与える。本研究は、都市のモビリティとアクセシビリティに着目し、これらの計測・計測方法を再検討するものである。
本研究では、人口減少と高齢化が進む北九州市を対象として、都市のモビリティとアクセシビリティを評価する方法について再検討する。2年計画の1年目である本年度は、モビリティの評価について、近年整備が進み入手が容易となった人流データ(メッシュ単位の集計ODデータ)を用いて、都市内で発生している移動の実態の可視化を行った。
多次元尺度構成法を応用したモビリティの可視化手法を開発し、北九州市の人流データに適用したところ、北九州市の移動からみた空間構造は、東西方向の移動が優勢であることが確認された。具体的には、門司区から八幡西区にかけての鹿児島本線に沿って空間が圧縮されている一方で、若松区や八幡西区南部、小倉南区東部(日豊本線/国道10号線方面)への移動の効率性に課題が残ることが改めて浮き彫りとなった。