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台湾のベンチャーキャピタル業の近年における発展状況:「中華開發資本(CDIB Capital Group)」の事例研究

執筆者 岸本 千佳司
発行年月 2026年 3月
No. 2026-05
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内容紹介

本研究は,台湾の代表的ベンチャーキャピタル(VC)投資会社の1つである「中華開發資本(CDIB Capital Group)」の事例分析を行い,それを通して近年の台湾VC業の転換に向けた取り組みを具体的に描き出すことを目的としている。中華開發資本は,その前身企業も含めると,1959年以降,60年余りにおよんで,台湾のその時々の主要産業に投資してきた実績がある。2017年以降,ウェブやソフトウェア等のニューエコノミー分野のスタートアップへの投資が本格化した。投資戦略もかつて半導体産業のような従来型ハイテク産業では「産業チェーン投資」が行われてきたが,ニューエコノミー分野の投資では「エコシステム投資」へと変化した。それに合わせ,新たなファンドが設立され,またスタートアップ支援のための「中華開發創新アクセラレーター(CCIA)」が開設された(2017 年)。これにより,スタートアップ・コミュニティ,および大企業やメンター等のパートナーを巻き込んだ創業エコシステムを構築しようとしているのである。

さらに近年,日本との連携を積極的に推進している。そのために,東京拠点(CDIB Tokyo Innovation Hub)を開設し(2023年),また台日連携推進のためのファンド(CDIB Cross Border Innovation Fund)を設立した(2024 年)。これにより,台湾スタートアップの日本市場開拓を助け,さらに,台日スタートアップ間およびスタートアップと大企業との連携を促進しようとしている。目標は,国境を越えた台日スタートアップ・コミュニティの形成,さらに将来的にはこれを東南アジアまで拡大することである。