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2025.07.18(金)所員研究会「日本の貧困率と社会保障財源」(オンライン)

当研究所では、所員の研究発表や意見交換のための所員研究会を開催しております。

オンライン開催。参加費無料。

※詳細は以下をご参照ください。

日時

令和7年7月18日(金)14:00~15:30

※終盤は質疑応答の予定です。

発表者

アジア成長研究所 理事長
八田 達夫

テーマ

日本の貧困率と社会保障財源

要旨

現在日本では、失業率が低下しているにもかかわらず、消費が伸びていない。その一つの理由は、低所得者の可処分所得(すなわち手取り所得)が伸びていないことにある。低所得者の消費性向は高いから、その可処分所得を引き上げる政策は、消費を増やし、経済を活性化させ、結果的に、低所得者以外の可処分所得も引き上げる。貧困率の引き下げは、経済活性化の観点から最重要課題である 。

実は日本では、貧困率の引き下げの余地は大きい。

可処分所得で計測した「相対的貧困率」と呼ばれる指標では、日本は、OECD加盟先進国の中で3番目に不平等な国である。日本より不平等な国は、アメリカと、パレスチナ難民が多く住むイスラエルのみである。

日本のこの高い貧困率の原因は、市場所得(社会保障給付を加えたり、税や社会保険料を差し引いたりする前の所得)の不平等にあるのではない。原因は、低所得者が直面している税負担や社会保障負担の高さと、給付の低さにある。

本稿では、そのことを示した上で、課税最低限未満の収入の人を含めた低所得者全体の手取りを集中的に引き上げる政策の本命は、「所得補給(給付付き税額控除)制度の導入」と、基礎年金などの「社会保険の税方式化」とであることを明らかにする。

一方、手取り額の引き上げのために様々な「控除の引き上げ案」が、提案されてきた。しかしこれらの案は、課税最低限未満の収入の人の手取りを全く増やさず、中高所得者の所得税を大きく減税してしまう。とくに、「控除の引き上げ案」は、低所得者の手取り引き上げの目的のためには、効率が悪い。その原因は、日本の貧困率の高さが、低所得者が直面している社会保険料が極めて高いことを無視していることにある。 本稿の第一部では、低所得者に対する再分配政策としての社会保障改革を論じる。次に第二部では、非正規雇用・主婦など、個人として低所得の人々に働くインセンティブを与えると言われる各種の所得税制改革案を評価し、低所得者の可処分所得を引き上げるためにより有効な改革を提案する。

使用言語

報告・資料ともに日本語

研究員の紹介

アジア成長研究所(AGI)理事長。現職就任以前は、政策研究大学院大学学長、東京大学教授、大阪大学教授、米ジョンズ・ホプキンズ大学教授・准教授・助教授、米オハイオ州立大学助教授などを歴任した。1973年にジョンズ・ホプキンズ大学より経済学博士号を、1965年に国際基督教大学(ICU)より経済学学士号を取得。
主として厚生経済学の理論で、American Economic Review、Econometrica、Review of Economic Studies、Quarterly Journal of Economicsなどに論文を出版した。一方、日本経済研究では、税制、土地住宅政策、社会保障、地方財政、人口移動と経済成⻑、規制改革、解雇法制、電力自由化、北九州の経済発展と空港の関係等を研究対象としてきた。
2004年から2005年まで日本経済学会の会長を務め、2023年からは日本学士院会員。内閣府国家戦略特区諮問会議議員など政府の様々な役職も務めた。

お申込み

申込方法① 電子申請

https://forms.gle/15ppsxi2ijzckjoZ9

申込方法② メール申込み

メールにて、氏名・所属・電話番号をoffice@agi.or.jpへ送信してください。

前日までにご参加用URLをメールでお送りします。

お申込み締切

7月17日(木)午後12時

チラシ

7/18(金)所員研究会[PDFファイル]

オンラインで視聴参加するために(お願い)

 

更新日:2025年6月24日
カテゴリ:セミナー