近年、世界最高水準の半導体産業を擁する台湾の対外直接投資の空間構造の変化が大きく注目されている。台湾の対外直接投資の国(地域)別構成を見ると、1993年~2022年の30年間、中国(本土)向けが一貫して首位を占めていた。しかし、ピーク時の2010年には全体の8割以上を占めていた対中投資のシェアは減少傾向が続き、2023年には11.4%まで低下した。一方で、米国、ASEAN、欧州、日本などへの投資シェアは大幅に拡大している。本研究では、2024年度の研究に引き続き、① トランプ政権2.0の発足など、国際情勢の変動に伴うグローバル・サプライチェーンの再編、② 台湾民進党政権による「新南向政策」、③ 主要投資先国における投資環境の変化、などによる台湾の対外直接投資の空間構造の変化への影響を考察するとともに、こうした変化が周辺諸国・地域(特に九州地域)に与える経済的影響について重点的に分析する。
本研究は日本における地域DXは地域と個人のウェルビーイングを向上させるか、また向上させるとしたらそのメカニズムは何かを実証分析により定量的に明らかにするものである。地域DXは、準自然実験としてパイロット政策(地域DX推進ラボ)、および地方自治体におけるアンケート調査(AI・RPAの実証実験・導入状況等調査)を用いて評価する。具体的な研究内容は、①日本の地域DXが地域幸福度を向上するか(都道府県または市区町村レベルの分析)、②日本の地域DXが個人の生活満足度を向上するか(個人レベルの分析)の2つである。①について、地域幸福度指標が地域における幸福度を計る4つのカテゴリーと、3つの因子群(生活環境、地域の人間関係、自分らしい生き方)から構成されることを踏まえ、主観指標と客観指標それぞれに対する分析も行う。②について、個人の生活満足度は生活全体の満足度で測定するとともに、健康状態や仕事、子育てのしやすさなどカテゴリー別の生活満足度をアウトカムとする分析も行う。