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日本における生産・消費構造と港湾取扱需要 -産業連関分析・消費内生化モデルの応用―

執筆者 伊藤 秀和, 土井 正幸
発行年月 2000年 8月
No. 2000-13
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内容紹介

経済活動やそれから派生する輸送需要を議論する際に、性向が異なる産業別の生産・輸送活動の構成や動向を分析することが重要である。さらに、最終・中間需要に対する直接・間接生産誘発額のみならず、消費に対する所得効果、すなわち増加した家計の労働報酬による消費拡大効果(ケインズ効果)を考慮する必要がある。そこで本研究では、日本の平成2年産業連関表を用い、産業連関分析の消費内生化モデルを発展させて、わが国の港湾取扱需要を分析した。具体的には、荷姿別あるいは全体的港湾取扱誘発量を産業部門別産出高で計量的に時系列推計し、その結果を消費内生化モデルの逆行列に乗じることによって、統合的な港湾取扱誘発効果を産業連関による波及効果(レオンチェフ効果対応)と消費の所得効果(ケインズ効果対応あるいは内生化効果)に分解するなどの分析を行った。

以下、第2節では産業連関分析・消費内生化モデルとその応用による港湾取扱需要分析モデルの理論的展開を行う。第3節では消費内生化モデルにおける消費性向の理論と推計を行う。第4節では港湾取扱需要推計の計量経済学的分析を行う。第5節では港湾取扱誘発需要量の分析を行う。第6節では政策シミュレーション分析として、外生的な最終需要の変化による港湾取扱誘発量インパクトの分析を行う。最後の第7節では、本稿の分析結果を要約し、総括を行う。