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「金融危機のマレーシア輸出加工区における出稼ぎ労働者への 影響に関する研究:ペナン州製造業のケース」

執筆者 草郷 孝好
発行年月 2000年 11月
No. 2000-21
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内容紹介

1997年夏にタイの通貨バーツ下落に端を発した通貨危機は、以後、インドネシア、韓国、マレーシアなどの東・東南アジア諸国に波及していった。1990年代に続いてきた東南アジアの著しい経済成長は、世界経済のグローバル化の流れの中、海外からの大量の短期資本の流入を喚起した。しかし、この資本流入は、資本投資先の生産性上昇によって支えられたものではなく、むしろ、不動産を中心にしての投機性の高いものであった。従って、将来の投資先国のマクロな経済見通しに強い不安を覚えた外国投資家の資本引き上げがドミノ現象を起こし、連鎖的にタイ、インドネシア、韓国、マレーシアから外国資本が引き上げられた。この結果、これらの国々(マレーシアを除く)は、IMF(International Monetary Fund:国際通貨基金)への緊急の融資要請に踏み切ることとなった。IMFは世界銀行と協調して、1980年代から積極的に推進してきた構造調整プログラムの考え方をもとに、経済危機に陥った国々への経済支援プログラムを作成し、融資を実行、早急にマクロ経済基盤の安定化を試みた。(伊藤1999)