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ロジットモデルによる中国輸出入企業の 中継港選択行動分析

執筆者 戴 二彪
発行年月 2001年 12月
No. 2001-34
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内容紹介

近年では、「世界の工場」になりつつある中国を発着する輸出入貨物は急増している。華南地域に加え、華東、華北、東北地域の主要省を含む環黄海地域の輸出入貿易の伸びも急激である。しかし中国(特に環黄海地域)の対外輸送は、中枢港の整備と関連サービスが依然として需要に追いついていないため、香港、釜山、神戸、高雄など周辺諸国(地域)の主要港での中継を必要としている。本稿は、東アジア関係港湾が大きな関心を持っている中国企業の國際中継港選択行動に焦点を当てて、1997年と1999年の2時点の調査データを用い、ロジットモデル分析を行った。同分析結果からは次のことが分かった。1)荷主の中継港選択行動に対して、条件変数(港湾利用コスト変数と港湾取扱能力変数)が互いに反対方向の影響を与えている。中継港選択確率の条件変数弾力性が低いものの、上昇する傾向がある。2)貿易相手の地域属性が企業の中継港選択行動に重要かつ安定な影響を与えている。北米や日本向け(から)の貨物を輸出入する企業は、釜山および神戸での中継を選択する確率が高いことに対して、欧州・東南アジアなど地域向け(から)の貨物を輸出入する企業は、香港を選好する。3)貨物の特性も企業の中継港選択行動に影響を与えている。電子・機械製品の輸出入企業が香港港を選好することに対して、農水産品や繊維製品など非機械製品の輸出入企業が利用コストの低い釜山港を選好する。