刊行物

PUBLICATIONS

改革・開放以降の中国からアメリカへの人口移動 ―政策背景、規模と特徴―

執筆者 戴 二彪
発行年月 2003年 12月
No. 2003-38
ダウンロード 237KB

内容紹介

本稿は、1970年代末以降急増している中国(大陸)からアメリカへの人口移動に着目し、その政策背景、規模と特徴を考察した。主な分析結果は次の通りである。(1)アメリカへの中国移民の急増は、主に中国側の出国規制の緩和とアメリカ側の専門・技術的移民を選好する最近の移民政策の結果である。(2)1970年代末から2002年の20数年間、アメリカに移住した中国出身の新移民の規模は約85万人に達しており、その約半分は、最初に留学生や交換学者としてアメリカに入国し、その後「雇用」移民としてアメリカでの永住権を得た高学歴者および彼(女)らの親族である。(3)新移民の多くは主要大学や研究機構の集中する北京、上海を中心とする華北、華東地域から移住したものであり、従来の移出地構造と大きく異なっている。ただし、福建省・広東省など伝統的な移民移出地域からのアメリカへの移民規模も少なくない。(4)中国出身の新移民の急増によって、アメリカ社会における華人の存在感が大きく上昇している同時に、華人社会における二極分化現象も起きている。