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上海経済圏における日系企業の立地状況

執筆者 佐野 浩
発行年月 2005年 11月
No. 2005-23
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内容紹介

本論は、中国における日系企業の立地行動について、従来の省レベルでの分析から、より空間単位を落とした上海経済圏の内部における立地選択という、都市レベルでの分析を行った。1998–2002年における日系の製造業企業の立地選択問題に関して、conditional logit modelを使用して、その傾向の推計を行った。主要な結果では、日系の製造業企業は、多くの中国ローカル企業、および日系企業が集中している地域を選択する傾向がある、つまり集積効果が検出されたことである。製造業企業をより詳細に分析するため、製造業を繊維・衣服グループ、化学・素材グループ、機械グループの3つに分けて、その立地傾向についても分析を行った。その結果は、製造業全体の結果とは異なったものとなった。集積効果については、繊維・衣服グループと機械グループでは製造業全体とほとんど同じ結果を得たが、化学・素材グループにおいては集積効果は検出されなかった。この理由としては、産業の特質や進出年次の違いが存在することから導出されたものと思われる。