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中国における 地場系自動車メーカーの製品開発に関する一考察

執筆者 李 春利
発行年月 2006年 8月
No. 2006-13
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内容紹介

本稿の狙いは,新興勢力とされる中国の地場系自動車メーカーの製品開発のパターンを検証することである。米日に次ぐ世界第3位の自動車市場に急成長した中国では,外国企業による集中投資の中で,地場系メーカーは弱いながらも果敢に挑戦を続けている。本稿では,地場系メーカー7社と自動車設計会社2社に焦点をあてて,現地調査の結果などを踏まえて,これらの企業の製品開発のパターンを検証した。その結果,次のような諸特徴が抽出された。(1)設計の外注化,外国設計会社への開発委託。(2)基幹部品の外部調達から内製化への切り替え。(3)イミテーション問題による外国企業との知財係争の激化。(4)開発技術者の争奪戦の激化。地場系自動車メーカーは,技術の内部蓄積だけでは新製品投入のスピードに追いつかないため,内外の既存の設計資源の活用に一斉に乗り出している。これらの企業は,設計・開発技術のオープン化とサプライヤー・インフラの共通利用という流れに乗って,開発技術者の引き抜きを通じて技術資源の内部化を進めながら,設計の外注化と「連合開発」を組み合わせる形で,製品開発能力の構築という長距離レースの短縮化,あるいはバイパス化を図っている。