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東アジアにおける産業構造の変化と 北部九州の港湾物流の研究

執筆者 井原 健雄, 石川 良文
発行年月 2006年 12月
No. 2006-22
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内容紹介

本研究では,昨今の東アジアにおける産業構造の変化に着目して,その計量的把握に努めるとともに,北部九州圏における港湾物流の動向とそのあり方に関する調査研究を試みるものである。

そのなかでも,とくに北九州港に着目すれば,平成8(1996)年3月には「北九州港湾響灘環黄海圏ハブポート構想」が策定されたが,その目標は,北九州市が西日本および環黄海地域から発生する北米・欧州向けのコンテナ貨物を中継する機能をもたせることであった。しかし,近年,上海港におけるコンテナ貨物の輸送量は急速に伸びていることから,中国の海上輸送中枢港としての地位を固めつつある一方で,わが国の対中国貿易の最重要港としての歴史を有する北九州港については,現在,中国との貿易規模が国内6大港のなかでも最下位に止まっているという厳しい現実を直視する必要がある。

したがって,当該「ハブポート構想」の実現可能性を探るとき,少なくとも東アジアの産業構造の変化を十分に検討した上で,北九州港の比較優位性を科学的に顕在化させる必要がある。本研究では,かかる産業構造の変化と連動させて物流動向の実態把握を計量的に試み,その結果に基づき,今後の政策課題の導出と有意な政策提言を行うものである。