刊行物

PUBLICATIONS

九州半導体産業における産学官連携 -ベンチャー・中小企業連携促進の 3 つの取り組み-

執筆者 岸本 千佳司
発行年月
No. 2010-01
ダウンロード 510KB

内容紹介

本稿では,九州の主要産業の1つである半導体産業を例にとり,ベンチャー・中小企業の連携促進の動きを分析する。ここで取り上げるのは,北九州学術研究都市の「ひびきの半導体ベンチャーサークル」,九州半導体イノベーション協議会によるSIIQDIRECT,および福岡システムLSI総合開発センターが推進する設計試作支援事業の3つの事例である。参加する企業数の規模や行政との関わり方等で各々タイプが異なるが,官民の協力によりベンチャー・中小企業の連携を直接間接に促し,地方圏である九州での企業の生き残りと発展,そして九州半導体産業の地位向上に繋げていこうとする試みである。各々,大手デバイスメーカーからの受注,九州域内企業間および九州内外企業間の案件掘り起こし,そして九州(特に福岡県)への企業集積の促進などで,一定の成果を収めている。他方で,世界金融危機の影響や首都圏等に比した研究開発・設計拠点としての劣勢,台湾や韓国など東アジア地域との競合など,九州半導体業界を取り巻く状況は厳しいものがある。こうした現状に対応するために,九州地域内での連携の動きを進めると同時に,それと地域外,特に東アジアを中心とする海外市場との連携を密接に関わらせることの必要性が指摘される。