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北九州市の小地域人口変動の統計分析からみた 転入者・転居者の居住地選択に関する研究

執筆者 田村 一軌
発行年月 2015年 4月
No. 2015-11
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内容紹介

北九州市は人口減少社会に突入しており,政令指定都市の中で最も人口減少率と高齢化率が高い自治体である。そのようななかで地域を持続可能にすることが,北九州市にとっての喫緊の課題となっている。

人口減少が続いている北九州市の人口動態を見ると,自然動態は減少が拡大しているが,社会動態については近年落ち着いている。日本全体の人口が減少しているなかにあっては,北九州市は人口増を目指すのではなく,市街地の人口密度を高めることで,ライフラインや公共交通の維持,フードデザート問題への対応など,地域の持続可能性を高める努力をするべきであろう。

地域の人口密度を高めるためには,転入や転居といったタイミングを捉えて,居住地選択を行おうとしている人に対して都心居住へのインセンティブを与えることが効果的だと考えられる。そこで,町丁字別の転入者・転居者の人口密度を,さまざまな社会経済指標で説明する統計モデルを構築した。その結果,転入あるいは転居が多い地域は,土地の起伏が少なく,鉄軌道駅が近く医療環境に恵まれている地域であった。また「まちなか居住推進地域」に対する住宅建設など対する補助に効果がある可能性も示唆された。

まちなか居住の様々なインセンティブを与え,望ましい集約型都市構造実現へ向けた具体的な方策を真剣に検討すべきでる。