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日本における女性の地域間移動パターンと影響要因

執筆者 田村 一軌, 坂本 博, 戴 二彪
発行年月 2018年 11月
No. 2018-09
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内容紹介

本研究では,日本の国勢調査のデータを用いて,地域間(都道府県間)の女性の移動パターンとその影響要因を分析した。

年齢別の分析によれば,男性の移動者と同様に,女性の移動者のピークは20歳代に現れ,その後移動者の数は徐々に減少する。移動者全体における女性移動者の割合は,20歳代後半から30歳代前半ではほぼ半分であるが,40歳代後半には30%前後へ徐々に低下する。それ以降移動者に占める女性の比率は徐々に上昇し,70歳代~80歳代には再び50%に達する。

興味深いことは,30歳代の女性の都道府県間移動のパターンが,20歳代の女性の移動パターンとはまったく異なっていることである。2005年から2010年の間に,20歳代の女性は3つの大都市圏(東京圏,大阪圏,名古屋圏),および広域の中心都市を持ついくつかの都道府県(福岡県,宮城県など)へと移動するが,30歳代の女性は逆に都市圏の中心にある都道府県から周辺の都道府県へと移動する傾向が顕著である。

我々の統計分析によれば,(多くの場合既婚であると思われる)30歳代の女性の移住パターンは,住宅費や児童教育費などの家族関連要因の影響を受けている可能性が高いのに対し,20歳代女性の移動パターンは,主に高等教育の機会,雇用機会,賃金水準などの他の要因によって影響を受けると思われる。

本研究の分析結果は,日本経済にマイナスの影響を与えている日本の人口減少を止めるために,住宅環境が良好で教育費が安い(特に若い既婚女性とって)魅力的な移住地になるために,地方政府はより多くの努力をすべきであることを示唆している。