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スタートアップ・アクセラレータの戦略の進化 -台湾の「交通大学産業アクセラレータ(IAPS)」の事例研究-

執筆者 岸本 千佳司
発行年月 2021年 9月
No. 2021-06
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内容紹介

本研究は、台湾の代表的スタートアップ・アクセラレータのひとつである 「交通大学産業アクセラレータ(IAPS)」の事例研究である。IAPS は、2013 年に 国立交通大学傘下に設立されたハイテク志向型のスタートアップ・アクセラレー タである。これまでIAPS のアクセラレータ事業は、独自のプログラムやビジネス モデルはなく、台湾政府からのスタートアップ推進計画の実施を請け負うという 形で運営されてきた。政府計画を実施する過程で、経験・ノウハウを蓄え、また 政府計画請け負いがいわば信用保証となり、協力企業やメンター等の開拓あるい は海外パートナーのネットワーク構築が進み、それが蓄積されて現時点の競争優 位となっている。2020/21 年に、独自のファンド(TX Venture Fund)の設立、お よびScale-up Premium Program と呼ばれる、これまで築いたメンターネットワーク を土台とした独自のスタートアップ支援の取り組みが始まり、今後の自主運営強 化に向けた戦略の進化が観察される。要するに、政府計画実施請け負い型のアク セラレータにメンター主導型の( スタートアップへの投資で稼ぐ) 商業ベースの アクセラレータが上乗せされたような形に進化しようとしているのである。本研 究は、「戦略ストーリー」を描き出す手法を応用し、アクセラレータ自身の戦略の 進化の過程を、IAPS の詳細な事例分析を通して解明することを目的としている。