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台湾・高雄市におけるスタートアップ推進-「亜灣5G AIoT 創新園区(Asia New Bay Area-5G AIoT)」と「亜灣新創園(Startup Terrace Kaohsiung)」の事例研究-

執筆者 岸本 千佳司
発行年月 2023年 3月
No. 2022-12
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内容紹介

本研究は、台湾・高雄市における近年の産業革新の取り組み、とりわけスタートアップ推進について、その背景を含めて解説することを目的とする。高雄市は重化学工業を主体に発展してきた歴史があるが、近年、産業革新と伝統的産業・企業のDX推進の必要性が叫ばれていた。このため、高雄市におけるデジタル新技術の発展と応用の推進を使命とする「亜灣5G AIoT創新園区(Asia New Bay Area-5G AIoT)」開発が策定された(2021年5月)。同創新園区は高雄市政府に加え中央政府の多数の部局がリソースを持ち寄って共同で推進している大規模なプロジェクトであり、5つの産業・文化施設を活用した台湾最大規模の5G AIoTの実証実験フィールドである。加えて、同創新園区内に、国際的スタートアップ基地として「亜灣新創園(Startup Terrace Kaohsiung)」が開設された(2021年12月)。亜灣新創園には、複数のアクセラレータが入居し、スタートアップの育成を行う。単一の相談窓口を設置し各種サービスを提供する。近隣施設との連携による実証実験の実施、スタートアップと地元企業との連携促進、国際連携支援(海外スタートアップのソフトランディングと国内スタートアップの国際展開)を行っている。2022年末までに、亜灣5G AIoT創新園区および周辺地域に国内外の多数の大企業が進出した。様々な実証実験が実施され、地元伝統的産業・企業における5G AIoT技術導入によるDX推進への支援も行われた。本稿では、こうした取り組みの経緯、実施方策、成果、今後の課題について分析する。