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第18回「メディアとAGIの会」

アジア成長研究所(AGI)は、2013年7月から新聞、テレビ、ラジオ、電子媒体など北九州で活動するメディアとの交流会「MAGI会」(メディアとAGIの会、2014年9月までの「イクメ会」を改称)を原則として月1回開いています。私どもの活動内容を地元メディアの皆さまにご認識いただき、広く地域社会にお伝えいただく一助とするとともに、メディアの皆さまとの意見交換を通じて地域社会の最新の情報ニーズを把握し、今後の活動に役立てるためです。

第18回「MAGI会」(メディアとAGIの会=「イクシアードとメディアの会<イクメ会>を改称)

2015.2.17(火)18:00~20:00@AGI会議室(北九州市・大手町のムーブ6階)

話題提供者:エリック・D・ラムステッター(Eric D. Ramstetter)主席研究員

テーマ:「アセアン経済共同体の2015年創設が北九州・下関の地域産業に与える影響」

出席メディア:RKB毎日放送、時事通信社、TNC、ヤフーニュース、読売新聞社(50音順)

magi18-1 今年(2015年)の年末に発足するアセアン(ASEAN)経済共同体(AEC2015 : ASEAN Economic Community)が、北九州・下関の地域産業にどのような影響をもたらすかについて、2月13日に北九州市で開かれた東アジア経済交流推進機構活動10周年記念事業(AGI第8回成長戦略フォーラム)での私の調査報告を基にお話しします。
 この研究は、東アジア都市会議実行委員会の委託を受けて実施したものです。
ASEANではすでに1992年に決定したアセアン自由貿易地域(AFTA)によってASEAN域内のモノの貿易に対する関税の多くは2010年までに撤廃された一方、非関税障壁やサービス貿易の障壁の撤廃といった残存する重要課題の協議は滞っています。このため、AEC2015が今年の末にスタートしたからといってASEAN自体には大きな影響を与えず、まして日本に対する影響は小さいです。さらに、ASEANに事業拠点を置く多国籍企業は北九州・下関地域には少なく、製造業への影響はきわめて軽微だと思います。
ただし、ASEANでの貿易や生産をサポートするサービス産業においては今後、影響が生じる可能性はあると思います。

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「2015年末のASEAN経済共同体発足の北九州・下関への影響は極めて軽微」と説明するエリック・D・ラムステッター主席研究員

【主な質疑応答】
Q:影響があるとすればサービス業だというのはなぜか?
A:北九州・下関企業など日本企業の対ASEAN輸出が増える時、その輸出をサポートするサービスは日系商社などが担い、カネは日本に落ちる。しかし、ASEAN現地の製造業の輸出が増える時は、これに付随するサービスは現地のサービス企業に落ちる。その分、日本側(北九州・下関側)のサービス業が影響を受ける可能性がある。

Q:AEC結成でASEAN域内の人の移動は進むのか?
A:プロフェッショナル(専門職)に限定されるだろう。

Q:AECができても、ただちにEU(欧州共同体)のような巨大な単一通貨・単一市場が出現するわけでないことは分かった。ひるがえって、アジアにおけるASEANの意義は何か?
A:評価すべきは域内の対話を保ってきたことだ。シンガポール対マレーシア、タイ対マレーシアなど戦争の危機は度々あったが、これを回避できたのはASEANの対話のおかげだ。これが東南アジアの平和を維持してきた。平和は経済成長のための必要条件だ。

(協力研究員・江本伸哉)

 

更新日:2015年2月25日
カテゴリ:研究交流