2021年度研究プロジェクト

研究部

アジア-日本間の経済関係と現代的課題

 日本とアジアとの結びつきやグローバル化など経済環境変化への対応に関する政策課題に焦点を当てて、その発生メカニズム・経済影響に関する学術研究を行うと共に、国内外の研究者と連携してアジアの共同発展に資するための政策研究を行う。研究テーマとしては、アジアと日本の間の人・物・資本等の移動からみた相互依存関係や国際情勢など近年発生した経済社会環境変化への対応策について学術研究と政策研究を推進していく。

日本における外国出身創業者の経営分野と雇用規模:地域別の違いと影響要因
研究概要:
 近年の日本において、少子高齢化の加速に伴い、外国人の就労・定住に関する規制が大きく緩和されている。こうした背景の下で、日本企業で働く外国人が急増しているとともに、外国出身の創業者も増加しつつある。しかし、一部の先進国と比べ、影響力のある移民系企業の数も雇用規模もまだ非常に小さい。米国やカナダの産業発展と後進地域の経済振興における移民系企業の貢献を考えると、外国人が持つチャレンジ精神・ネットワーク資源を最大限に生かすためには、日本も在住外国人の創業を一層促進すべきである。
 本研究では、統計データと聞き取り調査に基づいて、日本における外国出身創業者の経営分野と雇用規模の動向・現状を考察するとともに、その都道府県別の違いと影響要因を分析する。また、こうした分析結果及び海外との比較を踏まえて、日本および地元九州の外国人創業を効果的に促進するために、若干の対策を提言する。
担当:戴 二彪
ワクチン接種率の低下に関連する要因:インドからの事例
研究概要:
 予防接種は世界的な健康のサクセスストーリーで、毎年何百万人もの命を救っている。予防接種もプライマリヘルスケアシステムの基盤であり、議論の余地のない人権であると考えられている。しかし、予防接種率はここ数十年で目覚ましい進歩があったにもかかわらず、約2,000万人の子供たちが毎年ワクチンを接種していない。予防接種を受けていない子供の数字を見るとインドは世界の中で最大である。最新の推定によると、インドは世界で最もワクチン接種率が低い国の1つであり、2015年には30万人以上の子供(1~59か月)がワクチンで予防可能な病気で亡くなり、世界の総死亡者数の約3分の1を占めている。このプロジェクトの主な目的は、インドを事例として、ワクチン接種率の低下に関連する要因を理解することである。
担当:Pramod Kumar Sur

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日本とアジア諸国が政策立案のために相互から学べる経験

 日本はアジアで最初に現代の先進国になった国で、様々な成功と失敗を経験してきたが、成長しつつあるアジア諸国にとって、いずれも貴重な参考になる。この領域では、日本の重要な経済協力パートナーとしてのアジア新興国が日本の経済発展過程・関連政策から何を学べるかについて調査研究を行い、研究成果に基づいて政策提言を行う。また、現代はもはや欧米のみから制度改革の洗礼を学ぶ時代ではなくなっている。この領域では、日本が近年成長著しいアジア諸国のダイナミックな経済成長と関連政策から何を学べるかについて調査研究を行い、研究成果に基づいて政策提言を行う。

台湾と日本におけるスタートアップ・エコシステムの研究
研究概要:
 近年、スタートアップ推進の土台として、「エコシステム」が注目されている。すなわち、アクセラレータやメンターネットワークによる短期集中型の起業家育成、VCに加えてエンジェルやクラウドファンディングによる資金提供、既存大企業との連携(共同開発、投資、M&A含む)促進、および大学での起業家教育カリキュラム開設や各種イベント(ピッチコンテストや起業家同士の交流会)開催等による起業家マインドの称揚、そしてこうしたアクターや施策を高密度に集中・連携させた「スタートアップ・エコシステム」の構築である。
 私は、台湾の産業・経済・企業経営の研究が専門で、過去数年間、台湾のスタートアップ関連の動向に注目してきた。これを土台に、2021年度内部プロジェクトでは、「台湾と日本におけるスタートアップ・エコシステムの研究」を企画する。国際化・デジタル化が進み、起業活動も相対的に盛んである台湾に関する知見をさらに広げ、それを活かしつつ、日本における起業活動の活性化に向けた方策を探るのが目的である。とりわけ、近年、アクセラレータがスタートアップ支援体制のハブとなる趨勢であることに鑑み、台湾および日本国内のアクセラレータもしくは類似のプログラム・団体に注目し、その事例研究を進めていく予定である。
担当:岸本 千佳司

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北九州市の活性化に重点を置いた都市政策

 国内外の都市・地域振興成功例と関連政策を参考にし、北九州市の活性化に資する交通インフラ建設、環境ビジネス、都市の持続可能な発展などについて調査研究を行い、研究成果に基づいて政策提言を行う。

再生エネルギー発電の増加に伴う送電線混雑の緩和策
研究概要:
 日本の各電力会社は、その送電網を、発送電一貫体制のもとで各電力会社が設置した発電所で発電された電力を需要地に届けるために必要十分となるように設計、建設してきた。このため電力会社の管轄区域内で送電線に混雑が発生するということは、希であった。
 ところが現在では、既存の送電網が前提としてきた原発の多くが稼働停止しており、その一方で大量の再生エネルギーが供給されるようになった。このため既存の送電網に混雑が発生するようになった。これは再生エネルギー発電の発展を妨げている。例えば、ある地区に効率的な再生エネルギー発電事業者が参入しようとしても、すでにその地区に存在する非効率な火力発電所がフル稼働すると地区の送電線がフル利用される場合、参入が許可されない。その場合に、従来通り、既存の火力発電所に送電線の優先使用を認め続けるのか。それとも何らかのルールによって新規の再生エネルギー事業者に送電線の利用を認めるのかという問題が発生する。これに対する諸外国での解決策と日本での論議をサーベイした上で、日本にふさわしい対策を考察する。これは再生エネルギー発電を発展させようとしている北九州地区が将来直面しうる障碍の除去に役立つ。
担当:八田 達夫
北九州市における産業構造の変化と将来性
研究概要:
 本研究は、北九州市の地域活性化を念頭に、産業構造がどのように変化してきたのかを概観する。そして、今後どのような方向に向かうのかを展望する。この研究では、『県民経済計算』のデータを主に利用し、長期的な傾向を分析する。将来性については、各種予測モデルを用いる。これらを通じて、地域経済政策に関する知見を提供する。
担当:坂本 博
九州経済における大気汚染物質とグリーンテクノロジーの空間的研究
研究概要:
 近年では多くの国が、地球温暖化と闘い、経済を促進させ、生活の質を向上させる為、再生可能エネルギーの利用に関心を持つようになってきている。またこれらの目標は、SDGsの7番目と13番目の目標と合致している。本研究は、環境に優しいエネルギーの使用法の進化と、日本の人口の幸福指標との関係を調査することを目的とし、 その為に、九州地域を含む日本の地域および都市レベルで、探索的空間データ分析(ESDA)等とエネルギー技術、大気汚染、さまざまな経済指標に関連するデータを使用する。そして、SDGsのアジェンダに沿って、地域レベルでの具体的な政策提案を試みるものである。
担当:Dominguez Alvaro

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調査部

空港整備が地域経済に及ぼす効果に関する調査研究
研究概要:
 令和2年3月26日に那覇空港の第2滑走路が供用開始され、令和7年3月31日には福岡空港の第2滑走路が供用開始となることが予定されている。また北九州空港においても、令和2年度から滑走路延長計画に関する国の調査が開始され、PI(パブリック・インボルブメント)や環境影響評価などが進められている。
 本研究の主な内容は、このような空港滑走路の拡充および延長が地域経済に及ぼす影響を評価することである。特に、コロナ禍において航空旅客が減少するなか、航空貨物輸送は堅調に推移しており、滑走路の拡充が航空貨物に与える影響および製造業や流通業を中心とする空港後背圏の地域経済に与える影響を分析することは重要である。
 本研究では、北九州空港を題材として、空港滑走路の拡充が地域経済に与える影響を分析する手法についての研究を行う。
担当:田村 一軌

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2021年11月30日
当研究所では、所員の研究発表や意見交換のための所員研究会を開催しております。 通常は当研究所で開催しております...

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